多発性筋炎でも妊娠・出産は可能|膠原病を抱える患者の妊活を鍼灸で支援した事例
先日、当院で多発性筋炎の治療を受けていた患者様から、「無事に出産しました」との嬉しいご報告をいただきました。
この方は、指定難病のひとつである多発性筋炎(指定難病50)を抱えながらも、体調の改善と妊娠・出産という人生の大きな目標を同時に叶えられました。
本記事では、その過程で当院がどのように関わったのか、膠原病を抱える妊活中の方々の参考になればとの思いでまとめていきます。

多発性筋炎とは?|妊娠におけるリスクと課題
多発性筋炎は、自己免疫性疾患に分類される膠原病の一種で、全身の筋肉に炎症が生じる病気です。
筋力低下や筋肉痛、全身倦怠感などが主な症状で、再燃(再発)と寛解を繰り返すのが特徴です。
治療の中心は、以下のような免疫抑制療法とステロイドの長期投与です:
- ステロイド(プレドニゾロン)
- アザチオプリン(イムラン)
- タクロリムス(プログラフ)
しかし、これらの薬剤には副作用も多く、妊娠中や妊娠を希望する女性にとっては、治療と妊活を両立させる難しさがあります。
再燃をきっかけに来院|薬物療法の限界と鍼灸治療の導入
当院に初めて来院されたのは、再燃により症状が悪化したときでした。
特に寒冷期(2月前後)に症状が増悪し、ステロイドを20mgまで増量しても安定しない状態でした。
患者様は「薬だけの治療には限界を感じていた」と話されており、補完療法として鍼灸を検討されていました。
当院では、身体の炎症状態やCRP値、服薬状況を確認したうえで、自律神経と免疫の調整を目的とした鍼灸治療を開始。
数週間の治療でCRPが低下し、症状の安定が見られました。
鍼灸で症状安定後に妊活を希望|41歳からの挑戦
治療を続けていく中で、患者様から妊娠についてのご相談がありました。
ご年齢は41歳。
結婚を機に「できるだけ早く子どもを授かりたい」と希望されていましたが、年齢と持病のこともあり、不安を強く感じておられました。
私はすぐに病院での不妊検査を勧め、その結果、「軽度の問題はあるが妊娠は可能」との診断を受けられました。
妊活サポートとしての鍼灸とレーザー治療の併用
当院では基礎体温の記録を見ながら、排卵期に合わせた鍼灸治療とレーザー治療(低出力レーザー)を併用しました。
このアプローチは、体外受精などの高度生殖医療でも使われているレーザーによる血流促進と、鍼灸による自律神経とホルモンバランスの調整を目的としています。

結果、タイミング療法によってすぐに妊娠が成立しました。
妊娠中の病勢悪化と再介入|星状神経節刺鍼の活用
妊娠が成立した後、多発性筋炎の症状が再び悪化。
そのタイミングで再度ご来院いただき、星状神経節(交感神経節)への刺鍼治療を導入し、自律神経系へのアプローチを強化しました。
その後、症状も落ち着き、妊娠後期まで安定を保ち、無事に出産されました。
当院での実績:リウマチ・膠原病と妊活を両立する治療
当院では、リウマチ・多発性筋炎・シェーグレン症候群などの膠原病を抱える女性に対して、不妊鍼灸と併行して治療を行っています。
現在も、3名の患者様が膠原病治療と妊活を両立されており、それぞれの状態に応じて鍼灸と医療連携を組んだサポートを行っています。
最後に:膠原病を抱える妊活中の方へ
膠原病は、治療が長期化しやすく、「妊娠なんて無理かもしれない」と感じる方も少なくありません。
しかし、状態が安定していれば妊娠・出産は十分に可能です。
そのためには、薬物療法と補完医療の適切な併用、医療機関との連携、そして患者さん自身の希望を尊重した治療方針が不可欠です。
鍼灸は、妊娠を成立させるだけでなく、妊娠中の病勢管理や心身のサポートにも役立つ手段となります。
ご相談・ご予約について
膠原病をお持ちで妊娠を希望されている方は、ぜひ一度ご相談ください。
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電話 06-6170-9671
