東洋医学でのリウマチの考え

東洋・漢方医学の診察をした結果、「証」というものを決定します。

この証は、西洋医学で診察の結果、決定される「病名」とは全く異なったもので、東洋・漢方医学では証が決定されると同時に、その人の病気を治療する処方が引き出される仕組になっています。

ですから東洋・漢方医学の診断はその病人の病気の治療に直結しているわけです。 東洋・漢方医学では鍼灸や漢方薬を病人に与える場合、この証がなければならないことになります。

証とは、病人の現わしている自覚的および他覚的の症状を総括したものを言います。しかし、ただ雑然と集めたものではなく、各症状の間に繋がりがなくてはなりません。

西洋医学の「症状」と東洋・漢方医学の「証」とのちがい

西洋医学的の症状は、たとえば、A、B、Cの症状が現われているとした場合に、このA、B、Cの間に何らの関係がなくてもいいのですが、東洋・漢方医学の証は、A、Bの症状があれば、必ずCという症状がなくてはいけません。A、B、Cの三症状がそろってはじめてXという証が成り立ちます。このように、「症状」と「証」とは全然考え方が違っています。

病名と証とのちがい

西洋医学では、医者が、診察した病人の現わしている症状によって病名を決定します。医者が同じ症状であると認めると、どの医者でも同じ病名がつけられます。そしてその病名によって治療が行なわれるのです。これを病名治療ともいいます。

ところが漢方でいう証は、診察を受けた病人個人の証であって、他人の証とは同一ではあり得ないと考えています。

たとえば、同じ病名であっても、 日常生活の中で丈夫な人と虚弱な人とでは、現われてくる症状は違ってきます。なので証もまた違ってきます。

またこの証を決定する場合に、東洋・漢方医学では、医者の診察した他覚症状よりも、病人の訴える自覚症状に重きをおきます。そのため、東洋・漢方医学治療では個人治療になります。

証を左右するもの

またリウマチや痛みを現わす体の病状や訴える症状は、日常生活面で丈夫か虚弱かということ以外に、病人の男女別、体質、年齢、職業、平素の体の状態、生活状態、精神状態なども考慮して考えます。

病名は1つであってもこれらの事柄が違えば、リウマチの自覚的な症状に違いが出てきます。わずかな個人差を考えて東洋医学・漢方では証を決めます。そのため、同じ病名の場合でも行う鍼灸や処方される漢方は違ってきます。

リウマチは痺症に分類

東洋医学の分野ではリウマチは痺症に分類されます。

中医学ではRAの原因・発症・経過より考えると痺証に分類されます。『素問』痺論篇に「風・寒・湿の三つの邪気は合わせて体を犯し痺証になる」と書かれています。

痺証とは皮膚、肌肉、血脈、関節等のしびれ、重だるさ、疼痛や甚だしいときには関節の発赤腫脹や灼熱感といった症状を主証とする病証のことを意味します。一方、歴節風・白虎歴節風・骨痺などの名称もあります。

歴節は、関節の猛烈な疼痛や関節の変形および屈伸不能を特徴とする疾患であることを意味します。初期には少数の関節から発病し、しだいに多数の関節を破壊しながら侵すために「歴節」と名付けられています。こうした病証はリウマチの臨床症状を現代医学的にもよく示したものでもあります。

東洋医学では全身を診る

当院では痛み、腫れがある関節に鍼をするのではなく、患者の合併する愁訴も考え、全身治療を行います。

少陰腎経や厥陰肝経、さらに, 関節外症状については、太陰肺経や厥陰心包経より選穴することが多いです。 特に臓腑経絡理論に基づく候背腹診所見を重視して根拠に基づいた鍼灸治療を行います。

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