【症例報告】薬が効かなくなった関節リウマチが、鍼灸治療で改善した40代男性のケース

◆患者情報

  • 40代男性
  • 初診:2019年8月
  • 主訴:薬が効かない関節リウマチの痛みと腫れ

◆来院までの経緯

  • 2012年に関節リウマチと診断され、アザルフィジンを服用し安定。
  • しかし、2018年末から再び痛みが出現し、2019年春から腫れと激痛が悪化。
  • MTX(メトトレキサート)・プレドニン・ロキソニンを服用しても改善せず、
    「薬が効かない」「体が動かない」と日常生活に深刻な支障をきたすようになった。

インターネットで「鍼灸によるリウマチ治療」に関する当院の記事を読み、来院。


◆初診時の状態と血液検査データ

  • CRP:1.25 mg/dL(前月 7.87)/MMP-3:124.4
  • 処方薬:MTX 10mg、プレドニン 5mg、ロキソニン

【症状】

  • 手が握れない、腕が上がらない(挙上困難)
  • 指、足背の関節が赤く腫れ、シャツのボタンも留められない状態
  • 仕事から帰宅後は疲労困憊で動けず、痛み止めを飲んで寝るだけの毎日

◆鍼灸治療の内容

  • 自律神経を整えるための全身調整の鍼灸を実施
  • 関節周囲に直接アプローチし、緊張や腫れの緩和を図る
  • 毎日できる簡単な関節運動を自宅で実施してもらい、可動域の維持と血流促進をサポート

◆治療経過

  • 初診から1週間後には手が握れるようになり、腫れも軽減
  • 痛みの強度が明らかに下がり、日常生活が大幅に改善

【2ヶ月後の血液検査】

  • CRP:0.29 mg/dL/MMP-3:86.3
  • 関節のこわばりもほぼ消失し、主治医も驚くほどの改善を確認
  • 生物学的製剤の使用を検討されていたが、状態が良いため現行の治療で経過観察に変更

◆考察

この症例では、西洋医学の薬が効かなくなった背景に「自律神経の失調」や「血流障害」が関与していると考えられます。

慢性的な痛みが続くと、全身の筋肉や血管は収縮し、患部の血流が悪化 → 酸欠状態 → 発痛物質(NO)の産生という悪循環に陥ります。
このような状態では、MTXなどの薬も胃腸で吸収されにくくなり、効果が発揮されません。

▼ポイント

  • 鍼灸治療で自律神経を整えることで、薬が効きやすい体質へと変化
  • 局所への鍼刺激により、血流改善と炎症抑制が進み、症状の根本回復に貢献

◆まとめ

  • 薬が効かないリウマチに悩む方には、鍼灸治療の併用が非常に有効です
  • 特に、薬を増やす前に体を整える選択肢として、東洋医学の力が発揮されます

ったことで薬が効いたと思われる。

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この記事を書いた人

学生時代から京都、大阪の鍼灸整骨院にて4年間修行。
医療法人孝至会みのりクリニック内の東洋医学・リハビリ科にて10年間勤務。医師と協力して延べ3万人に鍼灸施術を行う。
主任を経て大阪府江坂駅前にて鍼灸治療院を開院。

【資格】
・国家資格 (はり師・きゅう師)
・「機能再生士」認定
・日本メンタルヘルス協会
認定基礎心理カウンセラー取得
・日本メンタルヘルス協会
公認心理カウンセラー資格取得

【所属団体】
・一般社団法人 全国鍼灸マッサージ協会 会員

【講演活動】

2015年 関西医療大学にて『「関節リウマチに対する鍼灸治療~メカニズムとエビデンス』講演 
(東京大学医学付属病院リハビリテーション部鍼灸部門主任の粕谷先生と合同)
2015年 明治東洋医学院にて『薬を否定せずに行うリウマチ鍼灸』講演
2017年 平成医療学園にて現場力ステップセミナー主催 『関節リウマチ臨床鍼灸』講演
2017年 (一社)日本生殖鍼灸標準化機関(JISRAM)にて『リウマチについて』講義2021年大阪医療技術学園 痛みの鍼灸 授業・実技を担当

2014年~ 一般向け講座『痛み・リウマチ克服セミナー』主催

【掲載】
2015年 医道の日本誌 専門鍼灸記事 掲載
2015年 明治東洋医学院 入学パンフレット 活躍するOB 取材
2016年 医道の日本誌4月号『関節リウマチ鍼灸』論文掲載

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