【症例報告】薬が効かず寝たきりに近かったリウマチ患者が、鍼灸治療で日常生活を取り戻した30代女性の事例

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◆患者プロフィール

  • 30代・女性
  • 来院時期:2016年10月

◆症状とご相談の経緯

  • 2016年6月:関節リウマチと診断
  • 治療として、
    • MTX(メトトレキサート)16mg(リウマトレックス8錠)
    • プレドニン8mg
    • 生物学的製剤(ヒュミラ)
      を使用するも、症状はむしろ悪化の一途をたどる
  • 2016年8月頃には、痛みで歩行が困難に
  • 強い痛みで起きていることすら辛く、1日の大半を横になって過ごす日が続く
  • 家事・買い物・幼稚園の送り迎えなども母親に頼る状態

初診時の血液データ

  • RF:205/CRP:2.17 mg/dL/MMP-3:275.3
     → 強い炎症と関節破壊の進行が示唆される

◆鍼灸治療の方針と実施内容

  • 初期の病院では「関節は動かしてはいけない」という旧来の指導を受けていたが、
     → 現代リウマチ医療では、適度に関節を動かすことが回復に有効とされている
  • 当院では、
    • 自律神経を整える全身調整の鍼治療
    • 関節周囲の筋緊張を緩める施術
    • 血流と代謝促進を目的としたツボ刺激(上四トク・血海・足三里)
    • 自宅でも行える関節運動・体操指導
      を並行して実施

◆改善の経過

  • 2ヶ月間、週1回の鍼治療を継続
  • 歩行が楽になり、買い物や幼稚園の送り迎えが自力で可能に
  • 関節の腫れも、膝にわずかに残る程度まで軽減

その後、病院を転院し治療方針が大幅に変更される
→ 薬が効きやすくなったこともあり、半年後には仕事復帰を開始


◆同時に治療した症状

  • 慢性的な腰痛

◆考察:鍼灸で回復を後押しできた要因とは

初診時の状態から見て、

  • 「関節を動かすな」「水は抜くな」という古い医療指導により、関節の可動性と筋力が著しく低下
  • 筋肉の萎縮や代謝低下が、薬の吸収・効果にも影響を及ぼし、MTXなどの治療薬が効かない状態となっていたと推察される

鍼灸治療により、

  • 自律神経の安定化
  • 胃腸の消化吸収機能の改善
  • 関節まわりの血流改善と筋緊張の緩和
    が実現され、薬の効果が引き出せる身体環境が整った

さらに、変更後の医師からも「この状態で済んだのは鍼灸のおかげ」と評価をいただいたことからも、
西洋医学と東洋医学の併用が有効に作用した好事例といえる


◆まとめ

  • 鍼灸は**「薬が効かない」「日常生活が困難」というリウマチ患者さんにこそ有効**
  • 体を内側から整えることで、薬が効く体に変化し、活動的な生活を取り戻せる可能性がある
  • 特に子育て中の女性や家事の負担が大きい方には、鍼灸治療の早期導入が効果的
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この記事を書いた人

学生時代から京都、大阪の鍼灸整骨院にて4年間修行。
医療法人孝至会みのりクリニック内の東洋医学・リハビリ科にて10年間勤務。医師と協力して延べ3万人に鍼灸施術を行う。
主任を経て大阪府江坂駅前にて鍼灸治療院を開院。

【資格】
・国家資格 (はり師・きゅう師)
・「機能再生士」認定
・日本メンタルヘルス協会
認定基礎心理カウンセラー取得
・日本メンタルヘルス協会
公認心理カウンセラー資格取得

【所属団体】
・一般社団法人 全国鍼灸マッサージ協会 会員

【講演活動】

2015年 関西医療大学にて『「関節リウマチに対する鍼灸治療~メカニズムとエビデンス』講演 
(東京大学医学付属病院リハビリテーション部鍼灸部門主任の粕谷先生と合同)
2015年 明治東洋医学院にて『薬を否定せずに行うリウマチ鍼灸』講演
2017年 平成医療学園にて現場力ステップセミナー主催 『関節リウマチ臨床鍼灸』講演
2017年 (一社)日本生殖鍼灸標準化機関(JISRAM)にて『リウマチについて』講義2021年大阪医療技術学園 痛みの鍼灸 授業・実技を担当

2014年~ 一般向け講座『痛み・リウマチ克服セミナー』主催

【掲載】
2015年 医道の日本誌 専門鍼灸記事 掲載
2015年 明治東洋医学院 入学パンフレット 活躍するOB 取材
2016年 医道の日本誌4月号『関節リウマチ鍼灸』論文掲載

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