僕の鍼灸院には、他の院から移ってくる人が多い。
以前、通院していた鍼灸院で受けていた治療というのは、
古典治療というもので、経絡の流れをよくするというもの。
使用する鍼も2~3本のみ手を少しでも動かせば、
鍼は抜け落ちてしまうぐらいしか、刺さっていない状態。
鍼が抜けたことを、訴えると「気が整ったからいい」とのこと。
(なんやそれ~)
確かに、そういう理論も東洋医学の治療ではあるのですが、
リウマチに効くのかは疑問です。
過去に、気を整える治療を受けていた方が、
「リウマチがよくなった、今では走れるぐらいに回復した!」と、
そこのホームページの症例に書かれていると教えてくれました。
確認すると、これはアウトでしょ、という内容でした。
うちの院に来た時は、両膝は変形し曲がった状態。
膝関節は完全に破壊した状態でした。
まだ20代の女性です。
「薬を飲まなくても鍼治療だけで治る」と言われ、
信じた結果が一生治らない関節破壊です。
責任とれるのでしょうか?
健康維持、予防的な鍼治療であれば、
このようなやり方でもいいと思います。
しかし、完全に発病している人へは、
ちゃんと根拠に基づいた鍼治療をするべきでは
つい最近も、鍼灸を受けていたがよくならいないという方が、
他の鍼灸院から移ってこられました。
6ヶ月ほど、1週間に1回の治療を受けていたと言います。
この方は、CRPやMMP-3は正常値で、リウマチ因子も反応なし。
少し腫れた膝をエコーで検査しても腫れもないにもなし。
しかし、関節が痛く、リウマチのような腫脹があるので、
リウマチという診断がついたといいます。
関節の動き、すべての関節の圧痛確認するけど、まったく痛がりません。
「????」なんで?
よく話を聞けば、ご自身の母親がリウマチになり、
腫れや痛みに苦しんだ結果、お亡くなりになったという、
ご経験をされているため、恐怖感が強いようでした。
そのため、手を動かすことはせず、
仕事でも重いものはすべて、持ってもらい、
キャップもあない状態でした。
(誰かにやってもらっていたそうです)
手の指の関節はブラブラ状態で、
筋肉は低下した状態です。
鍼治療で関節周りの筋肉や靭帯を緩めて、
関節の可動域を広げる運動をすると、
「動かすのが楽です!!」
そうでしょう、そうでしょう。
動かさないでいたから、関節拘縮があったのです。
そこを鍼で調整かければいいだけのことです。
この状態を2、3本の鍼で少し手を動かしただけで
鍼が体から抜け落ちる治療で
本当に治せるのでしょうか?
この方は、たぶんリウマチではない可能性があります。
自分の母親の症状を見ているから、その恐怖から、
「関節痛」 = 「リウマチ」
と考えていた可能性があります。
ご家族にリウマチの方がいた人ほど、
そのような傾向があります。
とりあえずは、様子を診ながら鍼治療です。