【自然治癒力でリウマチは治る?】東洋医学から考える本当に大切なこと

「人間には本来、病を治す力がある」
「リウマチも自然治癒力を高めれば治る」
「添加物を避け、オーガニック野菜を食べれば改善する」
「粗食を心がければ、薬は必要ない」

——あなたも、こんな言葉を目にしたことはありませんか?

たしかに、人間には自らの力でバランスを整えようとする「自然治癒力」があります。食生活を整えることも、身体を温めることも、決して悪いことではありません。
しかし、リウマチという病気の本質を理解しないまま、「自然に治す」ことだけを強調する言説は、時に危険でもあります。

ここでひとつ、考えてみてください。


目次

江戸時代や戦時中にもリウマチは存在していた

「現代の食生活が悪いからリウマチになる」と主張する方がいます。では、江戸時代の人々や戦時中の粗食の時代には、リウマチは存在していなかったのでしょうか?

いいえ、実際には、江戸時代の古文書にも「関節が腫れて動かなくなる病」として記録が残っています。栄養も乏しく、白米も手に入らず、もちろん食品添加物など存在しない時代に、なぜリウマチを患う人がいたのでしょうか?

この事実は、「リウマチの原因は現代の食生活だけではない」ことを物語っています。


なぜ健康だけ「昔に戻そう」とするのか?

医療の世界では、日進月歩で研究が進み、効果的な薬や治療法が開発されています。にもかかわらず、「昔ながらの生活に戻せば治る」という論調だけに傾倒してしまうのは、なぜでしょうか。

電車に乗り、スマートフォンを使い、電気やインターネットに依存している私たちが、「健康」だけ江戸時代に戻るという考え方は、やや極端ではないでしょうか?

現代医学を否定することなく、そして自然療法だけを過信することなく、「両方の知恵を融合させていく」ことが大切なのです。


鍼灸師として伝えたい「統合的な視点」

私たち鍼灸師は、薬を否定する立場ではありません。
しかし、「薬さえ飲んでいれば安心」「自然療法だけで乗り越えられる」という一方的な考え方には、強い違和感を覚えます。

実際、リウマチの治療薬には免疫を抑える働きがありますが、それだけでは根本的な体質改善にはつながらず、時間とともに薬が効かなくなるケースもあります。

一方で、自然療法の中にも根拠の薄い民間療法や、極端な食事制限など、かえって健康を損ねるようなものも存在します。

だからこそ、今求められているのは、「医学=サイエンスとアート」という視点です。


人間は「肉体」だけでできているわけではない

リウマチは、単なる関節の炎症だけでなく、その人の体質・性格・環境・生活習慣・ストレスなど、様々な要素が関係しています。

「肉のかたまり」だけを見るのではなく、心・体・生活全体をデザインする視点が必要です。

東洋医学では、「病は気から」という言葉があります。ストレスや感情の抑圧が免疫バランスを崩し、関節の炎症として現れるケースもあります。鍼灸では、経絡を整え、自律神経や免疫系のバランスを調えることで、薬だけでは届かない部分にアプローチすることができます。


自然療法の「自然」とは何か?

「自然治癒」「自然療法」とよく言いますが、では「自然」とは何でしょうか?

中国古典には「天人合一(てんじんごういつ)」という言葉があります。
これは、「人間は自然の一部であり、自然の法則に従うことで健康になる」という思想です。陰陽のバランス、五行の流れ。これが整ってこそ「本来の自然」なのです。

偏りすぎた食事制限や、極端な断薬は、本来の自然とはかけ離れているかもしれません。


リウマチ治療に必要なのは「バランス」

リウマチの治療において、もっとも大切なのは「バランス」です。

薬を使うべきときは、しっかり使う。
その上で、鍼灸や食養生、心のケアなどを取り入れて、徐々に薬の量を減らしていく道を目指す。

鍼灸は、副作用が少なく、リウマチに伴う痛みやこわばり、冷え、倦怠感などに対して有効な手段として注目されています。特に「自律神経の乱れ」「免疫の過剰反応」を整えることにより、薬だけに頼らない身体づくりをサポートできます。


まとめ:医学と自然療法は「対立」ではなく「融合」へ

今の時代に求められているのは、「薬か自然療法か」ではなく、それぞれの長所を活かし合う統合医療の視点です。

科学を否定せず、自然も軽視せず。
偏りのない目で、あなた自身の身体と向き合うことが、リウマチと上手につきあっていくための第一歩です。

私たち鍼灸院では、医学的な知識と東洋医学の知恵をもとに、あなたに合った最適なケアをご提案しています。

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『東洋医学×現代医学』2つの医学の考え方を合わせた鍼灸院です。

鍼灸経験20年以上の実績

病院勤務10年の鍼灸治療の経験

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この記事を書いた人

学生時代から京都、大阪の鍼灸整骨院にて4年間修行。
医療法人孝至会みのりクリニック内の東洋医学・リハビリ科にて10年間勤務。医師と協力して延べ3万人に鍼灸施術を行う。
主任を経て大阪府江坂駅前にて鍼灸治療院を開院。

【資格】
・国家資格 (はり師・きゅう師)
・「機能再生士」認定
・日本メンタルヘルス協会
認定基礎心理カウンセラー取得
・日本メンタルヘルス協会
公認心理カウンセラー資格取得

【所属団体】
・一般社団法人 全国鍼灸マッサージ協会 会員

【講演活動】

2015年 関西医療大学にて『「関節リウマチに対する鍼灸治療~メカニズムとエビデンス』講演 
(東京大学医学付属病院リハビリテーション部鍼灸部門主任の粕谷先生と合同)
2015年 明治東洋医学院にて『薬を否定せずに行うリウマチ鍼灸』講演
2017年 平成医療学園にて現場力ステップセミナー主催 『関節リウマチ臨床鍼灸』講演
2017年 (一社)日本生殖鍼灸標準化機関(JISRAM)にて『リウマチについて』講義2021年大阪医療技術学園 痛みの鍼灸 授業・実技を担当

2014年~ 一般向け講座『痛み・リウマチ克服セミナー』主催

【掲載】
2015年 医道の日本誌 専門鍼灸記事 掲載
2015年 明治東洋医学院 入学パンフレット 活躍するOB 取材
2016年 医道の日本誌4月号『関節リウマチ鍼灸』論文掲載

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