関節リウマチで薬が効かないと感じる理由

メトトレキサートと自律神経、鍼灸の関係

リウマチでメトトレキサートが効かない理由

目次

― 自律神経と情動ストレス、鍼灸が果たす役割 ―

関節リウマチの治療で中心となる薬の一つが、メトトレキサート(MTX)です。
しかし実際の臨床では、

  • 「メトトレキサートを飲んでいるのに痛みが減らない」
  • 「数ヶ月続けても効果を実感できない」

という声を多く耳にします。

今回は、メトトレキサートが効きにくくなる理由と、
その背景にある自律神経・情動(感情)ストレス
そして鍼灸治療がどのように関わるのかについて、
実際の臨床例をもとに解説します。


遠方から来院された20代女性リウマチ患者さんのケース

今回ご紹介するのは、20代後半の女性の関節リウマチ患者さんです。

ご結婚後まもなく関節リウマチを発症。
関節の痛みが強く、仕事を続けることが難しくなり、休職されていました。

服用されていた薬は、

  • メトトレキサート(リウマトレックス/メトレート)12mg
  • プレドニン 10mg

リウマトレックス・メトレート・メトトレキサートはいずれも同一成分の薬です。
患者さんからよくご質問を受けるため、補足しておきます。

しかし、ご本人の実感としては
「どちらの薬も効いている感じがしない」という状態でした。


鍼灸を受けようと思ったきっかけ

薬の効果を感じられず、不安が強くなっていた中で、
当院(氣よし鍼灸院)のブログを見つけて来院されました。

これまでにも知人の鍼灸師に診てもらった経験はあったそうですが、
ご主人の用事で大阪に来られたタイミングで、当院を受診されました。

来院時はご主人と一緒。
痛みが強いため、現在はご実家で療養されている状況でした。


初診時にみられた身体の状態

お身体を拝見すると、次のような特徴がありました。

  • 全身の筋力低下
  • 冷えの強さ
  • 強い精神的ストレス反応

発症の時期が、

  • 結婚
  • 引っ越し
  • 環境の大きな変化

と重なっており、心理的な疲労も非常に大きかったと考えられます。


初診時の検査データと経過

初診時の血液データは、

  • CRP:4.0
  • MMP-3:40

この時点では、メトトレキサートを一時中止して約2週間が経過していました。

画像上、関節破壊はまだ進行しておらず、
「今の段階で適切な治療を行えば、改善の可能性は十分にある」
と説明しました。

初回の鍼治療後は痛みが軽減し、
「久しぶりに主人と外出できた」と喜ばれていました。

しかし、1週間後に膝の腫れと炎症が出現
これはメトトレキサート中止の影響が出た可能性が高いと考えられます。

再検査ではCRPが 4 → 9 に上昇。
主治医により関節リウマチが確定診断され、
生物学的製剤(バイオ製剤)による治療が開始されました。


メトトレキサートが効かなかった理由①

情動ストレスと自律神経の乱れ

関節リウマチは、炎症だけの病気ではありません
「痛み」と「情動(感情)」が密接に関係する疾患です。

不安・恐怖・悲しみ・怒りといった感情が続くと、

  • 交感神経が過剰に緊張
  • 痛みを強く感じやすくなる
  • 筋肉がこわばり、関節の動きが悪化

という悪循環に入ります。

この状態では、
薬が効きにくく感じることも少なくありません。

鍼灸ができること

鍼灸治療では、

  • 自律神経のバランスを整える
  • 交感神経の過緊張を抑える
  • 副交感神経を働きやすくする

ことで、痛みや不安の過剰反応を和らげます

施術後に
「眠くなる」「気持ちが落ち着く」
と感じる方が多いのは、この作用によるものです。


メトトレキサートが効かなかった理由②

内臓機能(特に胃腸)の低下

強い痛みやストレスが続くと、
胃腸をはじめとする内臓の働きも低下します。

その結果、

  • 薬の吸収が悪くなる
  • 同じ量を飲んでも効果が出にくい

という状態が起こります。

鍼灸では、
内臓と関係する神経・反射エリアにアプローチし、
内臓機能をサポートすることで、薬の効果が発揮されやすい状態を整えます


鍼灸は「薬の代わり」ではありません

重要なことなので、はっきりお伝えします。

  • 鍼灸はリウマチ治療の代替ではありません
  • 薬をやめて鍼灸だけで治すものではありません

一方で、

  • 薬の効きを引き出す
  • 副作用による体調低下を和らげる
  • 痛み・不安・睡眠の質を改善する

といった補助療法としての価値は非常に高いと考えています。

「自律神経を整えればリウマチが治る」という単純な話ではなく、
薬物療法+鍼灸による自律神経・情動の調整
この両輪が大切です。


まとめ|リウマチ治療における鍼灸の役割

今回の患者さんは、
早期に治療方針を切り替えられたことで、
改善の可能性が高いケースでした。

鍼灸は、

  • 痛みの緩和
  • 自律神経の安定
  • 心身の回復力を高める

といった点で、
関節リウマチ治療を支える重要な補助療法になります。

「薬だけではつらい」
「不安や緊張が抜けない」

そんな方は、一度ご相談ください。

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この記事を書いた人

学生時代から京都、大阪の鍼灸整骨院にて4年間修行。
医療法人孝至会みのりクリニック内の東洋医学・リハビリ科にて10年間勤務。医師と協力して延べ3万人に鍼灸施術を行う。
主任を経て大阪府江坂駅前にて鍼灸治療院を開院。

【資格】
・国家資格 (はり師・きゅう師)
・「機能再生士」認定
・日本メンタルヘルス協会
認定基礎心理カウンセラー取得
・日本メンタルヘルス協会
公認心理カウンセラー資格取得

【所属団体】
・一般社団法人 全国鍼灸マッサージ協会 会員

【講演活動】

2015年 関西医療大学にて『「関節リウマチに対する鍼灸治療~メカニズムとエビデンス』講演 
(東京大学医学付属病院リハビリテーション部鍼灸部門主任の粕谷先生と合同)
2015年 明治東洋医学院にて『薬を否定せずに行うリウマチ鍼灸』講演
2017年 平成医療学園にて現場力ステップセミナー主催 『関節リウマチ臨床鍼灸』講演
2017年 (一社)日本生殖鍼灸標準化機関(JISRAM)にて『リウマチについて』講義2021年大阪医療技術学園 痛みの鍼灸 授業・実技を担当

2014年~ 一般向け講座『痛み・リウマチ克服セミナー』主催

【掲載】
2015年 医道の日本誌 専門鍼灸記事 掲載
2015年 明治東洋医学院 入学パンフレット 活躍するOB 取材
2016年 医道の日本誌4月号『関節リウマチ鍼灸』論文掲載

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